近年、クラウドサービスの利用は企業のデジタル変革(DX)において不可欠な要素となっています。総務省の調査データを基に、日本企業におけるクラウドサービスの利用状況を分析し、さらに海外のトレンドも紹介します。これにより、クラウドサービスの現状と今後の展望を探ります。
目次
日本企業におけるクラウドサービスの利用状況
全体的な利用状況
2023年の調査によると、全社的にクラウドサービスを利用している企業は50.6%と過去最高を記録しました。2022年の44.9%から大きく増加しており、クラウドサービスの普及が加速していることがわかります。また、一部の事業所や部門で利用している企業も27.1%と、全体の77.7%が何らかの形でクラウドを活用しています。
利用していない企業は10.6%で、そのうち7.7%は「今後利用する予定がある」と回答しています。
クラウドサービスについてよく分からないと回答した企業は4.0%で、年々減少傾向にあります。
産業別の利用状況
産業別に見ると、「情報通信業」が最もクラウドサービスの利用率が高く、93.4%の企業が利用しています。次いで「金融・保険業」89.8%や「不動産業」89.3%が高い利用率を示しています。一方、「サービス業、その他」71.4%「運輸業・郵便業」72.4%と利用率がやや低くなっています。
資本金額別の利用状況
資本金額別では、1億円以上の企業がクラウドサービスを積極的に活用している傾向があります。特に、50億円以上の企業では97.6%がクラウドを利用しており、大企業ほどクラウドサービスの導入が進んでいることがわかります。一方、1,000万円未満の中小企業では利用率が54.8%と低く、まだ導入余地が大きいことが伺えます。

海外のクラウドサービス利用トレンド
米国のマルチクラウドとハイブリッドクラウドの普及
米国では、マルチクラウド戦略が主流となっています。複数のクラウドサービスを組み合わせることで、リスク分散やコスト最適化を図る企業が増えています。また、ハイブリッドクラウド(オンプレミスとクラウドの併用)も広く採用されており、特にセキュリティやデータ管理の観点から重視されています。
欧州のデータ主権とサステナビリティ
欧州では、データ主権(Data Sovereignty)が重要なテーマとなっています。GDPR(一般データ保護規則)に代表される厳格なデータ保護規制により、欧州内にデータを保存することを求める企業が増えています。また、サステナビリティの観点から、クラウドサービスのエネルギー効率や環境負荷を考慮する動きも広がっています。
アジアのデジタル経済の成長とクラウド需要
アジアでは、デジタル経済の急速な成長に伴い、クラウドサービスの需要が高まっています。特に中国やインドでは、政府主導のデジタル化政策がクラウド市場を牽引しています。また、エッジコンピューティングの導入が進んでおり、リアルタイムデータ処理の需要に対応する動きが目立ちます。
今後の展望
日本企業の課題
日本企業では、クラウドサービスの利用率が向上しているものの、中小企業の導入率が低いことが課題です。また、セキュリティリスクや人材不足がクラウド導入の障壁となっているケースも見られます。今後は、これらの課題を解決するための支援策や教育プログラムが求められます。
海外トレンドからの学び
海外のトレンドから学ぶべき点は以下の通りです
- マルチクラウド戦略によるリスク分散とコスト最適化
- データ主権を考慮したクラウドサービスの選択
- サステナビリティを重視したクラウドインフラの構築
まとめ
クラウドサービスの利用は、企業の競争力を高めるための重要な戦略です。日本企業は海外のトレンドを参考にしつつ、自社のニーズに合ったクラウド活用を進めることが求められます。今後もクラウド市場の動向に注目し、柔軟な対応を心がけましょう。
参照
- 調査名:「総務省「通信利用動向調査」
- 参照ページ:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00282
- データファイル:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/excel/f00282.xlsx
- https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/csv/f00282.csv





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